CoCoサロンとちぎ 開催報告
CoCoサロンとちぎ3周年記念講座は、「ファシリテーションを学ぶ!」と題して、JVCA副代表理事の加留部貴行理事を講師に迎え、10月28日(土)に開催しました。
会議が踊らないために、参加者はどんどん話し、人の話を良く聞くこと。
一人ではできないことを、仲間で可能にするために組織ができる。
小学校の学級会を思い出せば、皆が「民主的なファシリテーション」の経験者。
人は自分の聞きたいことしか聞かない。
ファシリテーターの役目は、会議の交通整理。
もめる会議を防ぐには、会議を開かないことしか無い。
ファシリテーターが何かを産み出す訳ではない。
会議の参加者が持っている答を引き出すのがファシリテーター。
会議が回りだす時と停滞した時に介入するファシリテーターは、皿回しの芸人。
ファシリテーターという、参加者には聞き慣れない言葉を説明しようとする講師の苦心、お分かりいただけますか。
この他にも、Aの考え方をBに伝える「プレゼンテーション」や、Aの考え方をBに伝え、Bの良い部分や能力を引き出す「コーチング」、A・Bが対等な立場で良い関係になるための働きかけである「コーディネーション」と、Aの働きかけでグループの考え方や能力を引き出していく「ファシリテーション」との違いを図解しながらの説明もしていただきました。
参加者がなんとなく解ったような気分になったところで、ファシリテーションが、狭義には円滑な会議の進行を目的とし、広義には組織の創造、変革、問題解決、合意形成などを支援し促進させることが説明され、応用分野として、問題解決型(企業・政治の世界など)、合意形成型(町内会・自治会・NPOなど)、教育研修型(大学のゼミなど)、体験学習型(ネイチャーゲームなど)、自己表現型(演劇のワークショップなど)、自己変革型(ライフプランナー・自己啓発セミナーなど)の6つの分野が紹介されました。
もともと、コミュニティ分野で使われてきたファシリテーションが、ビジネス分野で活用されているのも、上記のような応用がきく手法だからです。
さらに、会議に求められるものは、成果と納得感です。では、合意はできていないが、成果の出る優れたアイディアと、アイディアはいまひとつでも、皆が納得できる結果とでは、どちらを選択すべきでしょうか。合意に至らない良いアイディアは「コンテンツ至上主義」の賜物です。今の教育を受けた若い人たちは、入試の穴埋めで鍛えられているので、こちらに傾きがちですが、良いアイディアは、自ずと生まれてくると割り切り、合意を得る方にエネルギーを傾けるべきです。
合意形成がなされない会議結果は、帰途で不満が吹き出しがちです。PTAの昇降口で「今日のあれってさー・・・」という光景を見たことがあるでしょう。
参加者の納得してもらうためには、「あと1回」「あと1時間」の手間を惜しまないことです。「急がば回れ」のことわざを忘れないでください。
以上のような「まくら」を終えて、ここからファシリテーターとしての本領発揮です。
まずは、加留部さんお得意のアイスブレイク3連発。
1. 流れ星(気付きのある「さとり系」)
講師の言葉どおりに「絵」を描くゲームです。「人は自分が聞きたいように聞く」ことが、はっきりわかります。
A4の白紙に、指示に従って「流れ星」「月」「木」「家」「あなた自身」の順に絵を描きます。人によって、紙の縦横も違いますが、今回は「縦に使ってください。」と指示がありました。
流れ星の数も一つ、二つ、たくさんと様々、月も満月、半月、三日月とあります。家にはドアや窓の有無、「あなた自身」も家の内外、中には木に登っていたり。
「左下にフルネームで名前を書く」という指示にも、縦書き・横書きと統一はされません。
つまり、自分が考えていることを相手に話したから伝わっていると思うのは間違いで、相手にどう伝わっているか確認が必要だということです。
十人十色と言いますが、まさにその通り。同じ話をしても受け取り方はいろいろなのです。
2. ミラーゲーム(体を動かす「ほぐし系」)
二人一組になって向かい合わせになり、握手をします。「親」と「子」を決め、「子」は「親」の動きに合わせて動きます。二人の間に鏡があるように体を動かすので「ミラーゲーム」といいます。1分程度動いたら、「親」「子」を交代します。
このとき、相手のどこを見たでしょうか。「のどのあたり」「顔」「目」「手や足など動く場所」「全体」など、これも様々でした。共通していたのは、当然ながら「相手を見ていた」こと。会議も一緒です。何を考えているのか、どんな気持ちか、常に会議の参加者の表情を見ることで推し量らなければ、良いファシリテーターにはなれません。
3. たんじょうびゲーム(お互いに知り合う「紹介系」)
グループを作るときに、知人同士で固まるのを防ぎます。1月1日から12月31日までの「生まれた日」順に並んでもらい、並び終わったところで1月1日から「○月○日生まれの○○です。○○から来ました。」とひとことずつ自己紹介をします。
今回は5人のグループを10個作ったので、「1、2、3、4、5」と10まで番号を言ってもらい、「1」のグループから「10」のグループに分かれました。
グループごとにテーブルを囲んでもらうのですが、その前に加留部さんから。
「最大のアイスブレイクは、笑いです。また、机やいすの配置にも目的によって違いがあります。空間配置や距離感で、話し合いがうまくいったり、失敗したりは良くあることです。お役所主催の住民説明会は学校形式が多用されますが、あれは愚の骨頂ですね。学校形式は『喧嘩の構図』で、最初から対立を呼び込んでいるようなものです。机を挟んで向かい合うのは、交渉ごとやお説教に向いています。机に向かって並びあうのは『情緒の空間』、一方に向かって並び、上席の人が全体を見る形は管理しやすい形です。円の並びは上下を作りません。車座・円卓会議などと呼ばれるものです。グループ討議の際、人数は8人が限度ですね。8人以上のグループにすると、必ずサボる奴が出てきます。話が出やすいのは5人くらい、4人だともっと熱くなります。3人になるとちと寂しい。5人がちょうど良いですね。5人にしておくと自然にリーダーができます。」
グループに分かれた5人が席についた時点で、「one-word自己紹介」。ポストイットに2分間で「氏名」「所属」「栃木と言えば○○」の3つを記入します。これを元に1分間の自己紹介をするのですが、話す内容を限定するこの方式は、「何を話したら良いかわからない。」という人に指示をすると同時に、話しすぎる人を抑える効果もあります。
また、加留部さんは、これまでの話を常に「ホワイトボード」を使って板書していました。これにも理由があり、言葉で話すだけ(空中戦と呼ぶそうです。)では、内容があいまいになり、「誰が話したか」が印象に残るが、書いたもの(地上戦)では、「何を書いたか」という内容が印象に残るからだそうです。
この時点で、加留部さんの用意したタイムスケジュールに、遅れが出ていました。そこで、グループに配布予定をしていた模造紙を、A4の白紙に換えました。時間短縮を図るためです。
話し合いのテーマは「栃木のキャッチフレーズ」。説明する相手はもちろん、初めて栃木県に降り立った、福岡出身の加留部さんです。
加留部さんは、課題を伝えると「作業は35分くらいで終わらせましょう。今、15時25分ですから、終了予定は16時です。」と言いながら、またホワイトボードに大きく「栃木のキャッチ ~16:00」と書きました。後で説明してくれましたが、大きく書くことで現在の話題が本論から逸れていないか、終了時間までに間に合うかなど、常に注意を促すことになるのだそうです。「可視化」することが大切なのですね。
約束の16時になり、各班からの発表が始まりました。
「栃木においでよ“OK”牧場」「日光・那須を見たかっぺ」「見れば日光(ひびかり)聞けばジャズのかみなり 言えばやさしさ“あったまんべぇ”」「日本一印象うすいけど,どまんなか」「あなたの心と体 だいじけぇー」など、特産物や方言を駆使したキャッチが出来上がり、発表もそれぞれに趣向を凝らして終了したところで、含蓄のある言葉が・・・。
「コミュニティ」の語源は「コミュネーレ」。意味は「共に重荷を担い合う」ということです。問題解決にかかわる人は一人より二人、二人より三人と増えることで考え方が活性化していきます。少しずつ役割分担しながら、解決の道を見つけていきましょう。
そして、話し合いを始めると、いろいろな意見が出て道筋をつけるのが大変になってきますが、逆に多くの人の意見でその道筋を明らかにして進められること、自分でできないことを担ってくれる人が出てきて役割分担ができること、自分や仲間の新しい才能の発見につながること、誰かの短い一言がキーワードになって場の展開が進むこと、会議のクライマックスは、誰かの意見・誰かが書いた言葉・隣の人の会話などをきっかけとして、必ず訪れることなど、「振り返り」「意図開き」の過程で多くのことを伝えていただきました。
最後に「協働」についての言葉。
漢字の意味としては「共働」を使いたい。そして、いきなりの「共働」はありえない。「共働」は「起承転結」の「転」だから。
起 ⇒ 共有・・・自己紹介・情報公開
承 ⇒ 共感・・・+の共感・-の共感。共感は人と人とを結び付ける連結器
転 ⇒ 共働
結 ⇒ 共創・共生・共栄・共存・共育などなど。
「どんな行動にも、思いがあり、言葉があります。想いが言葉に表れて、行動に結びつくのです。そして、明るい言葉、硬い言葉、暗い言葉など、ファシリテーターの発問の仕方で答が変わってきます。安心して楽しくしゃべれる場を作ることがファシリテーターの仕事だと思います。みなさん、『おしゃべり』を上手に使いこなしてくださいね。」と締めくくられた3時間は、参加者にとってとても大切な時間になったに違いありません。
編集後記(?)
講座終了後、会場の一角にあるレストランで懇親会が開かれました。加留部さんと、はるばる(というほど、遠くないと思うけど)杉並ボランティア活動推進センターからおいでいただいた疋田恵子さんを囲んでのおしゃべりは、大変楽しいものとなりました。加留部さん、疋田さんご両人が、宇都宮のホテルに宿泊されるということで、「とちぎボランティアネットワーク」主催、浄鏡寺での「サポーターの会」に合流、22時過ぎまで盛り上がり、始めての栃木の夜を満喫していただきました。
報告:世話人 木村和子
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